いち作り手としては、別に意識しない。
日常生活で男らしさとかそういうのを忌避するレベル感にすぎないですが。
いち作り手としては、別に意識しない。
日常生活で男らしさとかそういうのを忌避するレベル感にすぎないですが。
1ヶ月ぶり。。
『触れたれば若葉つめたしちぎり取る』村越敦
若葉つめたし、という発見。葉っぱが冷たいというのは特に不思議でもないが、それをちぎり取るという動作にもう一段階のひねりがあるように思う。
例えば枯葉であれば、そもそも温度など感じられないし、『ちぎり取る』までもなく取れてしまう。ちぎり取らねばならないというところに季語の本意というか、俳句甲子園風に言えば生命力とでも言うか、そういった要素が見て取れる。
『須磨浦へ出でよフライドポテトの香』佐藤文香
フライドポテトの香りってどんなだろう。香ばしいような油臭いような雑多な臭いだと個人的には思うのだが、須磨浦という場所の選択がすばらしい。
須磨といえば、百人一首にも詠まれた伝統ある名勝(使い方合ってるかな)であるが、巡り巡って現在はフライドポテトの似合う海水浴場のイメージのほうが強いように思う。そこからフライドポテトの香りがなんとなく巻き戻しになって源平合戦の武士や須磨の関守まで行き渡るような、そんな奥行きのある句である。
『休学の子と更衣しています』森川大和
男女どっちでも混合でも良いが、友達同士で服でも買いに来たようなシーン。休学していない子は、休学した子に対するちょっとした憧れ、うらやましさもあるのだろう。しかし一方で、休学していない子は休学していない子なりの意識で休学の子を相対化して見ている。
こういう微妙な人間心理が平易な言葉に集約されているあたりが作者の技量であろう。
『熱の子に春満月は歌うだろう』山澤香奈
子供の熱、という理屈に落としにくい現象、そしてさも魔女のような春満月、そしてそこに立ち向かうママ。全体的にメルヘンを志向しつつも、ここでは春満月が効いている。春満月が入ることで、ただのメルヘンから抜け出した妖しさがこの句に広がっている。
母は強し、というところか。自分はどつちかというと子供の熱とかただただ黙って見てるだけなタイプです。
今日は愚にもつかない俳句の垂れ流しではないのですよ。
—————————-
角川学芸出版より、1冊のムック本が出る。
俳句生活 一冊まるごと 俳句甲子園 別冊俳句 カドカワムック 62483‐54
一冊まるごと俳句甲子園と銘打たれたこの本であるが、俳句甲子園について多角的に取り上げた良書である。このブログを読んでいる皆様は当然上のリンクからアマゾンに飛び、予約をしていることだろう。
…という宣伝はさておき。いや、いい本なんだよ、ほんと。
個人的にこの本の中で注目したいのは、
『卒業生新作8句競詠』
という企画である。
一応言っとくと、自分が作品載っけてるからこの企画注目だよ、ということではない。この競詠は、結構面白い。知ってる人が多いってのもあるけど。
というわけで、その競詠から8句ほどピックアップして感想文を書いてみる。そんな上目線で評論したいとかではなく、あくまで個人の読書感想文に過ぎないんだよ、というところだけご留意いただければと。
ハラミなど待ち炎昼のパイプ椅子
いつぱしの印鑑を秘め夏座敷
海月やらワイパー越しに浮いて来し
農耕の民でありたる蚯蚓かな
一中の同窓会はビヤホール
蝋燭のほどけてゆきし夏料理
帆船を育てしといふ南風
公園に後ろ手の女子蝸牛
玉ねぎを切つてタツパーに入れる
珈琲の色の黴より流しけり
ナナフシのやうな男や五月闇
そのじいさんの足元に蚯蚓出づ
白夜てふデツサンソ連より届く
夏草といふからくりのありにけり
蟻にまみれて静かに横になる
大皿に鰹車の話ばかり
ぺしやんこのごきぶりによろこぶでもなく
花蕊や革靴の紐すぐ解けて
這うやうに花筏などありにけり
花人はをらずやリハーサル最中
花見酒飲まぬものまでひしやげては
花の夜のバイクのどこか通り過ぐ
花時や煙突のことなど思ふ
見しやうに語つてゐるよ花の昼
駅あれば発つもののゐて花の雨
人形の交通整理花吹雪
その頃に桜並木を見し記憶
花満開カーブより来る都電かな
花人でなき人もゐて面影橋
皇居てふ虚構ありけり花の夜
靖国をのぼつてゆけば花の昼
花の昼警察官が下を向く
フランス人植えたる桜かもしれぬ
花片の雨のやうなる三宅坂
高速船花の運河を過ぎ行けり
花の雨椿山荘に客つづく
花冷えや乾ききつたるマルゲリータ
匂ふもの匂はぬものや春の川
春塵にアジアの言葉ありにけり
ものの芽を摘んでは捨ててゐる妄想
かつこわるさ蒜を父さんが食ふ
落第と思へば思ふほどひとり
陽炎やひとからひとに菌なにか
この轍異人の車土筆摘む
ロボツトが立つてゐる窓利休の忌
表札の私消ゆる暖かさ
春泥をつかむ子のゐて上京す
雑貨屋もマクドナルドも卒業歌
アスパラガス茹でれば終わるある夜の食事
医者の皆石のごと笑む春の雨
このグラビア残しておこう大掃除
野遊に胡椒の匂ふ鞄かな
蒲公英の傾いてゐるやわらかさ
東風吹かばバームクーヘン切り分けて
春泥や弁当運ぶピアス居て
新聞に匂ひありけり木の芽時
印刷の揺れのありけりチューリップ